空調服のトラブルで多いケーブル断線の詳細と対処法について

空調服は熱中症を防ぐのに効果的な衣類として広く普及している一方、送風機器のトラブルで遮熱効果が得られないケースも少なくありません。中でもケーブル断線は漏電や火傷のおそれがあるので十分に注意する必要があります。

空調服を安全に活用するためにも、送風機器のトラブルの詳細や正しい対処法について学びましょう。

空調服に付属している送風機器のトラブルの詳細

空調服は付属しているファンで風を送り込み、服の中に空気の層を作る仕組みになっています。空気の層によって外気の熱を遮断し、体温が急激に上昇するのを防いでいるのです。空調服は体を冷やすのではなく、外気の影響を受けにくくなるのが特徴です。

そのため、冷え性の人でも体調を崩さずに涼しさを感じることができます。冷房設備が用意できない場所で熱中症を防ぐのに効果的な衣類ですが、その一方でファンをはじめとする送風機器にトラブルが生じると途端に体に悪い影響をもたらすことを注意しなければいけません。

空調服はファンから送られた風を外に逃がさないように気密性が高い生地で作られています。この気密性の高さが仇となり、ファンが動かないとすぐに体温が籠ってしまい、非常に暑く感じてしまうのです。送風機器のトラブルは汚れによるファンの詰まりや電池切れなどがありますが、中でも厄介なのがケーブル断線です。

汚れは清潔な布で拭き取ることが可能で、電池切れは充電を行えば解決します。しかしケーブル断線は切れた配線をくっつければ良いというわけではありません。配線が切れるのは圧力や衝撃などで部分的に劣化が生じ、強度が低下したことが大きな理由です。

そのような配線は仮にくっつけることができたとしても再び断線するので実用的ではありません。また、劣化した配線は通電性が低下するので電池の消耗が激しくなります。頻繁に充電することになり、結果として電池の寿命も短くなってしまうのです。

ケーブル断線がもたらす被害と正しい扱い方

送風機器に関するトラブルの中でもケーブル断線は危険性が大きく、重大な事故に繋がるおそれがあります。断線した部分から漏電して、感電や火傷に見舞われる可能性があるのです。また、火花で空調服の生地が焦げることもあります。

可燃性のガスや気化しやすい燃料を扱う現場では火災事故を引き起こすおそれがあるので、ケーブル断線が確認できた空調服は着用を避けます。断線したケーブルは速やかに新品と交換する必要がありますが、使い方を誤ると再び断線してしまうので十分に注意しなければいけません。

ケーブルを強く折り曲げたり圧力をかけるなど、特定の部分に大きな負荷がかかると断線します。トラブルを防ぐには空調服の扱い方に気を配り、特に送風機器には衝撃や圧力を加えないようにすることが重要なのです。ケーブルには通電性が高い金属が使われていますが、金属製品の多くは一度変形すると完全に元の形には戻りません。

特にケーブルのような細い形状の物は強い力で曲げるとクセが付いてしまい、微小な凹凸ができてしまうのです。この凹凸が金属製品の強度を著しく低下させ、遂には破損に至ります。ケーブルの断線も強度の低下で起こるトラブルなので、長持ちさせるには変なクセを付けないように丁寧な扱いを心がけます。

ケーブルなどの送風機器をお手入れする方法について

空調服が汚れた場合、送風機器を取り外せば家庭用の洗濯機で洗うことができます。一方でファンなどの送風機器は汚れても水洗いはできません。汚れを取り除くには清潔で柔らかい布を使い、撫でるように拭き取るのが正しい方法です。

わずかでも濡れているとショートするおそれがあるので、汚れを拭き取った後は十分に乾かします。また、消耗品であるフィルターは汚れを取り除いても生地が詰まっているので、新品に交換するのが賢明です。電池は端子部分に触れないように汚れを拭き取ってから充電を行うのが正しい扱い方ですが、短期間に何度も充電を繰り返すと性能が低下します。

電池もフィルターと同様に消耗品なので、充電が規定の回数に達したら速やかに買い替えるのが空調服の機能維持に繋がるのです。ケーブルについては表面を軽く拭き取れば汚れを除去できますが、その際は力を入れ過ぎず、ケーブルも無暗に折り曲げてはいけません。

ケーブルを傷めてしまうので、過剰な圧力や衝撃は与えないように注意することが大切なのです。

送風機器の買い替えに関する注意点

空調服に付属するファンなどの送風機器は何度も繰り返し使っていると、次第に性能が低下します。電子機器は消耗品でもあるので、風が弱くなったり電池やケーブルが熱を出すようになったら交換の時期が来たと見て間違いありません。

性能が低下した物をそのまま使い続けても遮熱効果が落ちるばかりか、漏電など重大な事故に遭う可能性があります。事故に遭って高額な治療費を支払う羽目になる事態を避けるためにも、少々の交換費用を惜しんではいけないのです。

ファンや電池、ケーブルなどの送風機器は空調服の販売メーカーで別売りされているので入手は容易です。その際、送風機器のメーカーはすべて同一にしなければいけません。同じ空調服でもメーカーによって送風機器の性能に多少の違いがあるためです。

送風機器は電気で動くファンと電源である電池、その二つを繋ぐケーブルで構成されています。いずれもメーカーごとに独自の規格で作られているので、異なるメーカー同士を組み合わせても正常には動かないのです。端子の形状や必要な電力などに違いがあるので、強引に接続させてもすぐに故障してしまいます。

そのため、送風機器は同じメーカーで統一しなければいけません。また、空調服にファンを取り付ける際も大きさが合わないと生地にすき間が生じてしまい、風が漏れてしまいます。メーカーを統一させるのは遮熱効果の低下を防ぐ意味もあるので、空調服に最初から付属していたメーカーの送風機器を選ぶことが重要なのです。

空調服から取り外した送風機器の正しい保管方法

空調服を長期間着用しない場合、送風機器は取り外して別に置くのが正しい扱い方です。いつまでも空調服に付けたままでは送風機器の重さで生地の織り目が変形します。そうなると織り目にすき間が生じ、そこから風が漏れてしまうのです。

取り外した送風機器は日焼けや湿気による性能の低下を避けるため、乾燥した暗所に置きます。ケーブルについては断線を避けるため、伸ばした状態で静かに置くのが最適です。